#35 『壬生義士伝』ながやす巧先生

映画『壬生義士伝』を鑑賞しました。(2003年作品。原作/浅田次郎  監督/滝田洋二郎 主演/中井貴一)新撰組の物語です。

今回は映画の紹介ではなく、漫画の話です。漫画を描いているのは、ながやす巧先生です。今年で画業55周年になります。

作品は知っていましたが、ながやす巧先生のことを詳しく知ったのはNHKの番組『漫勉』でした。浦沢直樹先生が漫画家を紹介する番組です。とても好きな番組です。

私にとって、ながやす巧先生の回が衝撃的でした。アシスタントを一切使わずに全部、一人で描いているのです。考えられません。しかも絵が緻密です。

それだけではなく、作品を作る上での工程に感動しました。

原作『壬生義士伝』の小説を涙が出なくなるまで読み込み(6回)セリフを丸写し、設定資料に2年を費やし、コンテのノートも何冊も納得いくまで描き上げ、それでまた1年、合わせて3年間、下地を練っているというのです。一つの作品にそこまで時間、情熱をかけて描いていることに驚くとともに憧憬の念を抱きました。最高に幸せなことだなと。

現在、ながやす先生は『壬生義士伝』大野千秋編の執筆に取り掛かっているそうですが、長年、描き続かれたことで目の病「白内障」と、漫画家の職業病ともいえる右手の腱鞘炎も、整形外科で痛み止めの注射を打ってもらって、何とか凌いでいるそうです。凄まじい気迫です。そして『壬生義士伝』執筆への意欲は、いささかも揺るいでないそうです。

今後の作品を楽しみにしていきたいと思います。

漫画『壬生義士伝』